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美は、ハートというパワフルなエンジンを、可動させるガソリン(or 仕掛け)だ。<美と命の関係>

 

「美の役割を暗示するのは、

 エステティック(美)の反対語であるアニステティック(麻痺)が、

 "無感覚"ー生きながら死んでいる状態ーを意味するという事である。」

 感覚の世界 イー・フー・トゥアン著より

 

この文から考えると、私たちが、美しいものを希求することや、

美しいものに目が止まらずにはいられないことには、

無意識に虚無を嫌って、自らの生の輝き(覚醒)を求めているからではないかと思われます。

 

日本語でも「気枯(けが)れ」という言葉もあります。

単調な日々の生活の繰り返し中で、気持ちが枯れてくるということのようです。

それについては、Wikipediaには「生命力の枯渇」のことと書かれてもいます。

 

洋の東西を問わず、人というものは「より豊かな生活」をするために、

「より良い人生」のために、美という心的エネルギー(覚醒力)を求めざるを得ないようです。

 

面白いことに、美しい絵を見た時と、美味しいものを食べたときは、

脳の眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)という部位が反応するそうです。

そこは、感動体験をしている時に活動が高まるのだそうです。


その眼窩前頭皮質は、報酬形というメカニズムの一つで、

絵を美しいと感じるときは、私達の脳にとって

あるいは生活にとっての一つのご褒美になるそうです。

 

それは、褒められたという喜びが

「人の意欲というエネルギーを高めてくれる」ということと

同じ働きをするということのようです。

 

美は、生きる力(生の充実)ということに強く関係しています。

 

「良品活力」という本があるのですが、

主に誠実に作られた端正(=美)な生活用品を紹介するカタログのような内容です。

その本では、今まで見えなかったものが見え、

感じることができなかった風味や、香りや、感触などがよみがえさせる

その道具たちの "生活にもたらす力" を「良品活力」と呼んでいます。

 

この「良品活力」という言葉は、ブランドの一つあり方を言い表していると思います。

 

スターバックスのサイトには「人の心を豊かで活力あるものにするために」と書かれています。

確かに、高品質のコーヒーとアートのあるクールなインテリアは、

今までの日本の喫茶店にはない斬新な経験、居心地の良さであり、

ついつい寄りたくなる自分のための新たな空間、

スターバックスのブランドビジョン「第三の自室」です。

家庭・会社(学校)の次に必要なものとしての存在感を醸し出しています。

 

そして、私たちの心をあっという間に鷲づかみにして、日本全国に広がりました。

 

美は、私たちの生活を形づくる商品の目的、

あるいは、それを担い、利潤を追求する会社の目的として、

必然的に行き着くようになるのではないでしょうか。

 

現代とは、そうした目的が光る、時代です。

なぜならば、私たちが、高次のレベルの欲求(より豊かな生活・より良い人生)として

美(素晴らしさ)に、飢えているからです。

「人はパンのみに生きるにあらず。」という有名な言葉もありますが、

私たちは、自分を輝かすために、心の糧、心のご馳走、心の贅沢さを摂取して、

何かしらの手応えを得なければ、健やかに生きていけない時代に生きているかもしれません。

 

 そう考える時、私たちの時代には、多くの虚無(麻痺)が漂っているのかもしれません。